②マザコン夫と意地悪な義母『お前は家政婦のようなもんだから』

マザコン夫と意地悪な義母

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①マザコン夫と意地悪な義母『お前は家政婦のようなもんだから』
私の名前は斉藤由里。 仕事終わりの疲労した身体で帰路についていると、軽快な着信音が鳴った。 あぁ、今日は少し残業したからな…もうお呼びか…。 スマホの画面を見ると、相手は案の定、夫からで、ガクリと肩を落とした。 携帯...

 

由里「出来ました、召し上がってください」

今日の献立は焼き魚と吸い物と炊き込みご飯だ。

机に並べられた食事を見ると、義母の眉間にシワが寄る。

義母はこれ見よがしに大きくため息をつき、私をきつく睨みつけた。

千寿子「ちょっと、何か足りないんじゃない?」

由里「え?」

千寿子「お漬物は?」

由里「今切らしてるんです。帰りに買ってこようと思ったんですが、時間がなくて…」

千寿子「言い訳は結構!!!」

義母は大きな声を荒げると、机を掌で叩きつけた。

食器がガチャンっと音をたて、吸い物が溢れる。

智和「たく…注意力が足りないんだよ。仕事でもそうだよな。」

由里「すいません…」

 

 

二人がさらに私を責めようと口を開くと、雅明が義母の裾を引っ張った。

雅明「ご飯…食べないの?」

千寿子「まあ、まーくんごめんねえ…。おばあちゃんと一緒に食べようか!」

義母と夫は、ころっと表情を和らげた。

二人とも、雅明にはいい顔をするのだ。

雅明「ん。ままも一緒に食べよ?」

智和「お母さんは皿洗いがあるから、先に食べような」

雅明「まま…?」

由里「おばあちゃんと、お父さんと食べてて?ごめんね」

雅明「うん…」

悲しそうに眉を下げる雅明に胸がズキリと痛んだ。

由里「さて…そろそろ2階に行かないと…」

わたしは食事を手にいそいそと階段を登った。

 

 

義父、和彦さんは、脳卒中で倒れてから、下半身不随で寝たきり状態で、この部屋から出るのは病院に行くときだけだ。

由里「お義父さん。失礼します」

義父はテレビを見るわけでもなく、静かに天井を眺めていた。

由里「晩御飯を持ってきました」

義父「ああ」

由里「食欲はありますか」

義父「動いてないから、あるわけがないだろう」

義父は、物静かで、私に笑顔を見せた事がなかった。

おそらく、義母と同じように、私のことをよく思ってないのだろう。

 

 

由里「じゃあ、また食べ絵終わる頃にきますね」

食事を並べて、部屋を出ていことすると、義父が不意に私を呼び止めた。

義父「さっき、千寿子の大きな声が聞こえたが。何があったんだ」

由里「あ…少し、晩御飯を作るのに手こずりまして…」

義父「他には」

由里「あ、いえ…何もありません」

義父「…そうか。最近千寿子の料理を食べていないな」

義母「あ、すいません。お口に合いませんでしたか」

義父「誰もそんなこと言ってないだろう。もういいぞ」

義父はそれから話すことなく、食事を口に運び出した。

 

 

それからも、二人のいびりは続いていた。

私の休日の日は特ににひどかった。

庭で洗濯物を干していると、義母のヒステリックな声が響いた。

由里「どうかされましたか」

義母「ちょっと、この洋服の畳み方違うわよ!変なシワができるじゃない!」

すごい剣幕で箪笥の引き出しを指さす。

由里「え、けど、この前はこの畳み方にしろって…」

義母「知らないわよそんなの!」

義母は箪笥の服を引っ掴むと、部屋中に撒き散らし始めた。

由里「落ち着いてください!」

義母「うるさいっ、あんたが適当にやるから悪いのよ」

義母は全ての服を撒き散らすと、満足気に笑みを浮かべた。

義母「これ全部たたみ直し!畳みかた覚えるまで畳みなさい。あ、30分後には昼ごはんの支度もしなさいよ」

由里「分かりました…」

 

 

義母の要求はこれだけではない。

義母「買い物に行くから、お金頂戴」

由里「お金は自分でなんとか出来ませんか…」

義母は、自身の年金で生活をしていない。

生活費となるのは私と夫の稼ぎだけだ。

義母「は?夫の母を労う気持ちがないの?」

由里「いや、流石にお金は…」

義母「はあ、じゃあ離婚ね。智和に言いつけて、離婚してもらうから」

私が反論すると、必ず“離婚“というワードで脅す。

そしてその脅しに、私はなんの抵抗も出来ないから、義母はますます図に乗るのだ。

由里「っ…分かりました。これで足りますか」

2万円ほど渡すと、義母は嘲笑うように札をヒラヒラ仰いだ。

義母「これっぽっちい?ま、いいわ。私、優しいからこれで我慢してあげる」

そうして義母はブウランドもののバックを持って、家を出てくのだった。

 

 

そして、夫も帰ってきて、晩御飯の時間。

例に漏れず、一人皿洗いをしていると、雅明が元気な声で言った。

雅明「ママ、このハンバーグ美味しいよ」

由里「ありがとう」

雅明の言葉は素直に嬉しかったが、確かにその場の空気が凍ったのが分かった。

智和「雅明、けどおばあちゃんのハンバーグの方が美味しんだよ?」

雅明「そうなの?」

智和「ああ。お母さんは料理が下手だけど、おばあちゃんは上手なんだ」

千寿子「そんなに煽ても何にも出ないわよ。まーくん、今度作ってあげるからね」

雅明「ん…ありがと」

雅明は義母にふにゃんと笑みを見せると

雅明「そうだ!ママに見せたいものがあるんだ!」

っと、席を立った。

雅明「これ!」

 

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