【第3・4話】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~

あの保育園なら辞退したわよ?

インスタで紹介した「あの保育園なら辞退したわよ?」

その第3話~第4話を公開しています!

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【第2・3話】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~
インスタで紹介した「あの保育園なら辞退したわよ?」 その第2話~第3話を公開しています! 前回はこちらからどうぞ! 【第2話】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~ 姑「孫ちゃー...

【第3話】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~

夫「やっぱ母さんが台所に立っている姿って見てると落ち着くな」

 

急いで着替えてリビングに行くと、娘が私に駆け寄ってきた。

 

娘「ママァ…まだ眠いよぉ…」

 

娘を抱き上げると私の肩に顔をうずめてうとうととし始める。

ごめんねという思いで娘の背中をトントンと叩いた。

 

冷蔵庫を勝手に開けて、お義母さんが味噌にぶつぶつと文句をつけている。

ベビーサークルで仲良くなったママ友に教えてもらって作っている手作りの味噌。

 

姑「手作りの味噌なんか気持ち悪くて使いたくないわ」

 

夫「手作り?」

夫「嘘だろ?俺、手作りの味噌なんか食わされてたの?」

 

驚いた顔をしてこっちを見ているけど、夫はこの味噌にしてからおかわりを欠かしたことはない。

わざとらしく鳥肌が立ったようなしぐさをして、夫が立ち上がった。

 

夫「ごめんな?母さん、気が付かなくて」

夫「俺ちょっとコンビニまで味噌買いに走ってくるわ」

 

気が付かなかったんならなにも問題ないじゃない。

声を荒げたかったけれど抱いている娘が目を閉じて身体の力が抜けたようにだらりとしている。

娘をこのまま寝かせてあげたかった。

 

玄関の閉まる音が聞こえると、お義母さんはキッチンに向かったまま私に話し始めた。

 

姑「まだ3歳だというのに保育園に入れようとしているんですってね」

 

私(もう3歳、だわ)

 

姑「典子さんはそうやって、他人に育児を任せようとしているってことよね?」

姑「まだ小さい孫ちゃんを、他人に育ててもらおうって」

姑「私が納得できる理由を説明してくれる?」

 

言葉尻こそ丁寧に話すけれども、明らかに苛立っているのは包丁の音でわかる。

わかりやすい女。

私「3歳までは自分で育児をしたいと思っていましたけど」

 

姑「けど?」

姑「自分の時間が欲しいだけでしょ?」

 

お得意の私のターンを奪って重ねるように話してくるやり口。

 

私(あんたの息子の収入が心配なのよ)

 

姑「専業主婦をさせてくれる夫に感謝して、夫を支えることに人生を賭けるべきよ」

 

私(ふざけるな…!)

 

私の思いが伝線したのか娘が少し動いてぐずり始めた。

慌てて娘の背中をまた優しく叩き寝かしつけようとするも、もう目が覚めてしまったようだった。

 

どうして私があんな夫を支えることに人生を賭けなきゃいけないのかと叫びたかったけれど、夫が帰ってきた音が聞こえる。

仕事帰りに私が買い物を頼んでも「一日中家にいるんだからそのくらい自分で買ってくればいいだろ」と、買ってきたこともない夫が。

 

市販の味噌を溶かして、わかめを散らしただけの味噌汁を

 

夫「やっぱり母さんの味噌汁は世界一だな」

 

と嬉しそうに汚い音を立てながら飲んでいる。

お義母さんを家まで送りながら仕事に行くという夫がいつもよりも早く家を出た。

もはやお義母さんが何をしに来たのかわからない。

ただ私に嫌味を言いに来たかっただけなのかもしれない。

 

時計を見るとそろそろゴミ収集の時間だった。

ゴミをまとめていると、ゴミ箱に雑に捨てられた味噌が入っていた…

 

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【第4話・先読み】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~

このままじゃ娘を保育園に入れることもできないし、下手をすればお義母さんに育てられることになりかねない。

お義母さんに育てられたら、夫みたいな人間ができるんだろうと考えるとぞっとする。

 

ベビーサークルで仲良くなったママ友と保育園の相談をしていたけれど、少し急ぐ必要がありそうだ。

 

友「なかなか空きがないんだよね、保育園」

 

私「やっぱそうなんだ…」

 

二人で情報を交換しながら保育園探しに勤しんでいるけれど、やっぱりなかなか決まらないというのはママ友も同じ状況のようだった。

お互い姑同士が知り合いというか、ライバルというか、まあ、決して友達ではないようなのだけれど、私たちは気が合ってよく子連れで会っている。

 

友「夫は早く仕事しろって言うんだけどさ」

 

うちとは正反対で、ママ友は旦那さんに仕事をしろとせっつかれている。

ママ友も好きで専業主婦をしているわけではない。

バリバリに働いていた経験を生かしてすぐにでも仕事復帰をしたいけれど、保育園が見つからないだけ。

養ってもらって楽でいいよな、と嫌味ばかりの旦那さんの鼻を明かすんだとやる気に燃えている。

 

友「昔は、家事をして家を守って、子供を育てるっていうのが女の仕事なんて言われてたらしいけど」

友「子供が手を離れたらどうなっちゃうんだろって考えると怖くなかったのかな」

 

確かに、と頷いているとママ友が笑った。

 

友「でも典子さんのお姑さんは、まだ子供を手放してないよね(笑)」

 

姑同士知り合いなだけあってよくお互いの姑の愚痴を言い合っている。

こういう愚痴を言い合える友達がいなければやっていられない。

 

私「確かにね(笑)」

私「なんかあればすぐにお母さんがお母さんがって言うんだもの」

 

今朝の出来事をママ友に話すと、怖っと言いながらオーバーリアクションで寒気がしたと表現した。

 

友「うちのお姑さんに典子さんのお姑さんが自慢してたんだけどさ」

友「うちは息子の稼ぎだけで家族を養っているんですよぉ?って」

 

私「ああ、そういうことね」

 

妻を働かせずに一人の収入で家族を養っている立派な息子と言いたいんだろう。

もちろん家計が火の車になりかけているとはお義母さんには伝えていないからだろうけれど。

 

友「それにね」

友「今年の年賀状見た?」

 

お義母さんからママ友の姑に送られた年賀状の写真を撮ってきたのと見せてくれた。

その年賀状には、「大きくなりました」の文字とにっこりと笑って立っている夫の写真。

 

今度は私が、怖っ!と叫んでオーバーリアクションで寒気を表現した。

 

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第1話はこちらからどうぞ。

【第1・2話】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~
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