インスタで紹介した「あの保育園なら辞退したわよ?」
その第2話~第3話を公開しています!

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【第2話】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~
姑「孫ちゃーん、お待たせぇ!」
お義母さんの高すぎる声が聞こえて時計を見るとまだ朝の6時。
前に夫が勝手に「何かあった時のために」なんて私に無断で合鍵を渡してしまったものだから油断ができない。
気が付くと夫婦の寝室を勝手に開けて、私と夫のベットの横にある娘のベッドの掛け布団をめくっていた。
私「ちょ…お義母さん…!」
誕生日に私がプレゼントした目覚ましで7時に起きるのを毎朝の習慣にしているのに。
姑「孫ちゃん?ばあちゃんよ?おはよ」
3歳児ながら迷惑そうな顔をして目をこすっている。
そんなことを意に介さず、お義母さんは娘を抱き上げた。
私「お義母さん、まだ娘は寝ているんですから…」
姑「何言ってるの」
姑「典子さん、もう6時よ?普通の主婦はもう起きて朝ごはんの支度も終わらせている時間なの」
姑「母親のあなたがそんなだらしないことだと孫ちゃんまであなたみたいになったらどうするの」
勝手に鍵を開けて入ってくるような人に言われたくない。
私(ちょっと、どうにかしてよ、あんたの親…)
私が夫をゆすり起こすと、ふわぁなんてだらしない声を出して夫が起き上がった。
夫「あ、母さん」
夫「さすがだね、もう来てくれたの?」
私(なにがさすがよ…)
いつもはギリギリの時間にならなければ起きてこない夫は、にこやかに起き上がった。
姑「大事な息子からのヘルプだものね」
もう35歳になる息子にウインクする母親などいるだろうか…
夫「サンキュ」
しかもウインクをし返す夫…
朝から気持ち悪いものを見せてくれる…
もう一人で着替えができると言っているのにお義母さんはいそいそと娘を見覚えのない服に着替えさせ始めた。
また買ってきたんだ…
生まれてくる子が女の子とわかったときには、いろんな洋服を着せたい願望に駆られて、安くてかわいい服をチョイスするのが楽しみになっていた。
だけど「子供は親の着せ替え人形じゃないのよ」と私に言ったくせに、自分はどの時代だとしても受け入れられないようなセンスの洋服を好んで買ってくる。
姑「さーさ、ばあちゃんが美味しい朝ごはん作ってあげるわよぉ」
夫「お!?母さんの朝ごはんかぁ」
夫「楽しみだ!」
まるでお義母さんと夫と娘が3人家族のように寝室を出ていった。
【第3話・先読み】あの保育園なら辞退したわよ?~義母と夫に倍返し~
夫「やっぱ母さんが台所に立っている姿って見てると落ち着くな」
急いで着替えてリビングに行くと、娘が私に駆け寄ってきた。
娘「ママァ…まだ眠いよぉ…」
娘を抱き上げると私の肩に顔をうずめてうとうととし始める。
ごめんねという思いで娘の背中をトントンと叩いた。
冷蔵庫を勝手に開けて、お義母さんが味噌にぶつぶつと文句をつけている。
ベビーサークルで仲良くなったママ友に教えてもらって作っている手作りの味噌。
姑「手作りの味噌なんか気持ち悪くて使いたくないわ」
夫「手作り?」
夫「嘘だろ?俺、手作りの味噌なんか食わされてたの?」
驚いた顔をしてこっちを見ているけど、夫はこの味噌にしてからおかわりを欠かしたことはない。
わざとらしく鳥肌が立ったようなしぐさをして、夫が立ち上がった。
夫「ごめんな?母さん、気が付かなくて」
夫「俺ちょっとコンビニまで味噌買いに走ってくるわ」
気が付かなかったんならなにも問題ないじゃない。
声を荒げたかったけれど抱いている娘が目を閉じて身体の力が抜けたようにだらりとしている。
娘をこのまま寝かせてあげたかった。
玄関の閉まる音が聞こえると、お義母さんはキッチンに向かったまま私に話し始めた。
姑「まだ3歳だというのに保育園に入れようとしているんですってね」
私(もう3歳、だわ)
姑「典子さんはそうやって、他人に育児を任せようとしているってことよね?」
姑「まだ小さい孫ちゃんを、他人に育ててもらおうって」
姑「私が納得できる理由を説明してくれる?」
言葉尻こそ丁寧に話すけれども、明らかに苛立っているのは包丁の音でわかる。
わかりやすい女。
私「3歳までは自分で育児をしたいと思っていましたけど」
姑「けど?」
姑「自分の時間が欲しいだけでしょ?」
お得意の私のターンを奪って重ねるように話してくるやり口。
私(あんたの息子の収入が心配なのよ)
姑「専業主婦をさせてくれる夫に感謝して、夫を支えることに人生を賭けるべきよ」
私(ふざけるな…!)
私の思いが伝線したのか娘が少し動いてぐずり始めた。
慌てて娘の背中をまた優しく叩き寝かしつけようとするも、もう目が覚めてしまったようだった。
どうして私があんな夫を支えることに人生を賭けなきゃいけないのかと叫びたかったけれど、夫が帰ってきた音が聞こえる。
仕事帰りに私が買い物を頼んでも「一日中家にいるんだからそのくらい自分で買ってくればいいだろ」と、買ってきたこともない夫が。
市販の味噌を溶かして、わかめを散らしただけの味噌汁を
夫「やっぱり母さんの味噌汁は世界一だな」
と嬉しそうに汚い音を立てながら飲んでいる。
お義母さんを家まで送りながら仕事に行くという夫がいつもよりも早く家を出た。
もはやお義母さんが何をしに来たのかわからない。
ただ私に嫌味を言いに来たかっただけなのかもしれない。
時計を見るとそろそろゴミ収集の時間だった。
ゴミをまとめていると、ゴミ箱に雑に捨てられた味噌が入っていた…
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