👩私
「先週頼んでた薄力粉が届いたから、
そこに置いておくね」
👦夫
「早いな、もう届いたのか。
ありがとう。」
私の名前は田中典子。
一年前に、老舗の和菓子店に
嫁いできた。
夫が店の店主を務め、
私はその手伝いをしている。
夫との出会いは、
立食形式で開催された同窓会だった。
👩私
「ごめん…少し気分が悪いから、
外の空気吸ってくるね」
👧友達「大丈夫?付いていこうか?」
👩私
「いいよいいよ、また後で合流する」
昔から人が多いところは苦手だった。
体調がすぐれず、
少しフラフラしながら
覚束無い足取りで歩いていた時だった。
👦男性「おっと…」
👩私「きゃっ…ご、ごめんなさい!」
👦男性「大丈夫?」
ドンッと男性の背中に
ぶつかってしまった。
慌てて目の前を見ると、
男性の胸元は飲み物で濡れていた。
👩私
「ほんと、ごめんなさいっ…」
👦男性
「俺は大丈夫だから。
はやく外に行くといい。
顔色が悪い。」
👩私「あ…」
男性は私の手を引いて、
人気の少ない外に向かった。
👦男性「ここならゆっくり休めるだろう」
👩私「あ、ありがとうございます」
👩私
(こんな優しい人、いたかな…?)
違うクラスだったのかな…。
私はその男性に見覚えが無かった。
ただ、助けてほしい時に
気遣ってくれたことは素直に嬉しかった。